名松線を訪ねて(猫も歓迎!?)

 「名松線」は三重県の「松阪」を起点に「伊勢奥津」までの43.5キロの地方線。「名張」まで結ぶ予定であったためこの名称が。2009年の豪雨の影響で、「家城(いえき)」駅で折り返し、「伊勢奥津」までは代替バスが走り、廃線の憂き目も。けれど復活を望む地元の要望も強く、再開が予定されている(現在は「伊勢奥津」まで開通している)。そんな路線を、18きっぷを使い冬の季節に訪れた。

「京都」駅発、奈良線の電車にのり「木津」駅で乗換、関西線で「加茂」経由「亀山」に向かう。車中から見える畑には氷が張り、周りの山はうっすらと雪化粧。木津川の水の冷たさが感じられるような冬景色の中「松阪」を目指す。「津」が近づくころには都会の景色が広がり、気持ちの中で寒さがやわらぐ思いが。

「松阪」駅に到着し、楽しみの昼食に。松阪牛専門店ののれんをくぐりメニューを開き、我らの懐具合では黒毛和牛がお似合いと、ビーフシチューを注文。さすがに専門店だけあって、その味にコクがあり、煮込んだ野菜とのコンビネーションが冷えた身体を癒すにピッタリの食事に。

腹が満たされ一息つき、名松線に乗車。1両のデイーゼル車両、乗客は私たち3名を含み8名程を乗せて出発。途中からは我ら3名の専用列車に。

街並みが遠くに離れると田園風景が拡がり、線路沿いの川の清らかな流れの中の岩の景観に、人里を離れ自然が残されているなとの実感が。約40分で終点の「家城」駅に到着。ホームから改札を出るとなんと猫の出迎えがあった。しかし先を急ぐのでと猫を横にやり、次の「伊勢竹原」駅まで休止路線に沿って歩き始めた。

人影も少なく、道路を走る車の台数だけがやけに多いなと感じる。道路沿いの川を見ると、岩と岩がセメントなどで固められている。自然を壊していいものなのかと思っていると、「疏水」との看板があり、なんと日本疏水100選との記述が。こん場所に「疏水」が必要だろうかと皆で意見交換を。

途中、沈下橋やせき止め堰があり、名松線はこの川沿いを右に左にくねりながら伸びている。約50分後に「伊勢竹原」駅に到着。駅は標識がなければ通り過ぎそうな場所にひっそりとたたずんでいた。しかしその駅舎の横のトイレは手洗いの水も出て、誰かが利用している様子。

住所は「津市美杉」との表示。駅舎見学のあと、少し休憩をして、帰りの電車に間に合うよう帰路についた。帰路は思ったより早く「家城」駅につき駅舎を見学。ここでまた先程の猫とそれより一回り大きい猫も現れ、一人の膝に二匹の猫がうずくまり気持ちよさそうにしている。その一人は家で猫を飼っているとの話に、猫も人を見分ける力があると感じた。

帰りの電車が到着し、10名ほどの人が下車。1日8便程度で採算はとつい考える。けれどこの路線は地元の通勤・通学等には無くてはならない足となっているのだろう。

電車は少し暮れかけた「家城」駅を発車、太陽が山に隠れるシーンを見ながら「松阪」駅に向かう。松阪から「亀山」駅に、そこから関西線で「柘植(つげ)」駅まで乗車し草津線に乗換。草津線にはいるともう周りは真っ暗闇、道の街灯や住宅の電気だけが点々と見えるだけ。「草津」駅に到着しそこから新快速電車に乗って「京都」まで直行。次回は桜咲く頃にと旅を終了した。  (京向GIE)

2017040401